吸収合併時の既存の契約について
はじめに
吸収合併はM&Aの手法の1つでグループ企業の再編・経営の見直し・新たなビジネスの創造などに有益なものです。ご興味をお持ちの方の中には、吸収する企業が保有している契約はどのようになるか疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。この項では、その契約がどうなるのかという点を含めた注意点や解約書についてご説明いたします。
吸収合併で契約は続けられる?
複数の企業を1社に合併する吸収合併は、企業を再編する方法として良く用いられます。残る企業のビジネスを加速させ技術力の向上や販路拡大などの恩恵を得られます。しかしながら、合併契約書の作成・自社の契約の見直しなど事前に把握しておいた方がいい点などありますので、確認しておきましょう。
それではタイトルにあった、吸収合併後の消滅企業が保有していた契約の存続有無についてです。これは会社法第2条27号にて規定されており、「合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させる」となっています。なので、契約を含む全ての権利義務は、合併後も存続する会社に全て承継させなければなりません。
手続きと流れ
それでは、実際に吸収合併はどのような流れになるかを、順を追ってみていきましょう。
吸収合併はM&Aの手法の中で経営拡大・見直しを見込む事ができるメジャーな方法です。法律に則り、円滑に進めるためには流れを事前に把握しておく必要があります。
1. 契約書の作成
会社法第748条にて「合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない」と規定されていますので、契約書を作成しましょう。作成については会社法第749条に基づき、法定記載事項を記載して、吸収する側とされる側の双方の同意が得られるような内容になっていることが必要です。契約締結後の変更は難しいため、このタイミングで良く吟味しましょう。
2. 承認
吸収合併を行う際には、効力発行日までに双方の取締役会と株主からそれぞれ承認を得る必要があります。
3. 利益確保
会社法第785条及び第797条に基づき、それぞれの債権者と株主の利益を守る手続きを行います。
その後は、債権者の異議申し立て、効力発生を経て確定となります。
まとめ
吸収合併では、残る側と消滅する側が存在します。消滅会社が保有していた権利・契約は全て存続会社が引き継ぐこととなります。ビジネスを拡大させる大きなチャンスとなります。一方、法律に則った手続き・株主、債権者対応などやらなければならないことが多いのも事実です。合併後にスムーズに走り出せるように、専門家を交えて行うことをおススメ致します。
おすすめ記事
-
人工知能の新たなフロンティア:会話型AIの実力と活用法
近年、会話型AIが多くのメディアやSNSで話題となっています。その人気は、多くの人々がこの新技術に興味を持ちつつ、一方でその利用にはまだ戸惑いを感じているという状況を反映しています。
-
プロフェッショナルな自己紹介で人脈を拡大するテクニック
新しい職場やプロジェクトが始まる際、最初のステップは自分を効果的に紹介することです。この瞬間が、あなたがどのような人物であるかを相手に示す重要な場面です。
-
事業名選定の究極ガイド:成功への第一歩を踏み出すために
事業をスタートする際、多くの人が何を名前として採用するかに頭を抱えます。ただの名前以上に、事業名はそのビジネスの顔とも言えます。