インボイス導入後の経過措置って何? 計算方法と仕訳方法まで解説
インボイス制度導入後、適格請求書発行事業者ではない免税事業者から仕入れを行うと、仕入税額控除の適用外となります。
しかし、一定期間の間経過措置というものが設けられており、2029年9月30日までに控除対象金額が減っていく仕組みになっています。
今回は、経過措置についての解説と、期間中の計算方法と仕訳について解説していきます。
経過措置とはどんなもの?
経過措置とは、インボイス制度導入後にも免税事業者との取引がある課税事業者の急激な負担を抑える目的で設置されています。
気になる経過措置の対象者は、適格請求書発行事業者ではない免税事業者と取引をしている課税事業者です。
2026年9月30日までは80%、2029年9月30日までは50%の控除を受けることができます。
そして、利用するためには請求書と帳簿それぞれに関する条件を満たさなければいけません。
請求書の要件
受け取る請求書に以下5点の記載がなければいけません。
1 作成者の名称
2 取引年月日
3 経過措置を受ける旨を記した取引内容
4 税率ごとに計算した合計取引金額
5 宛先の事業所の名称
帳簿の要件
1 取引先の氏名か名称
2 取引年月日
3 経過措置を受ける旨を記した取引内容
4 発生した取引金額
消費税率8%と10%で分けた区分記載請求書等保存方式での記載に加えて、適用を受ける課税仕入であるという旨を記入する必要があります。
経過装置期間中の計算方法
期間中の仕入税金控除の計算方法は2通りあり、「積上げ計算」と「割戻し計算」に分けられます。
ですが、原則積み上げ計算が使われるため、積み上げ計算について説明していきます。
80%を控除できる期間で、標準税率は7.8%、軽減税率は6.24%の場合
・消費税率が10%
仕入税額 = 課税仕入額 × 7.8/110 × 80/100
・消費税率が8%
仕入税額 = 課税仕入額 × 6.24/108 × 80/100
経過装置期間中の仕訳方法
経過装置期間中は80%もしくは50%は仕入税額控除の対象となりますが、残りの%は対象外です。
そのため、対象外の部分の消費税額の仕訳を行う必要があります。
考えられる仕訳方法は、
「対象外の部分を費用に上乗せ」もしくは「対象外の部分を雑損失で処理する」の2通りに分けられます。
「上乗せする場合」には、帳簿に記載時点で仕入税額控除とそれ以外を区別します。
「雑損失で処理する場合」は、これまでと同じ方法で仮払消費税として処理し、決算時に雑損失に振替を行います。
メリットとして、個別の計算を行わないためにミスが起こりにくいという点が挙げられますが、反対に決算時までは全体を見ることが難しいというデメリットもあります。
まとめ
たとえ経過措置が設置されているとは言っても、6年後には一切控除できなくなります。
適格請求書発行事業者になるか迷っている方にとっては救済措置だと言えるでしょうが、取引先との関係を考えた上では適格請求書発行事業者に早めになった方が良いのかもしれませんね。
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